グローバルレポート|COVID19が世界経済を永遠に変えた10の項目

Bloomberg 2020年12月30日

2020年のコロナウイルスパンデミックのようなショックは数世代に一回とめったに起きないが、それは大きな変化をもたらす。変化のいくつかは既に現れている。ロボットによる工場での作業、サービス関連業務は加速し、ホワイトカラーは家にいる時間が長くなる。国同士、そして国内でも不平等が進み、政府が人々の生活に大きな役割を果たす。以下、いくつか進行中の変化の概要を挙げてみる。

1. Leviathan リバイアサン(巨大なもの)

大きな政府が復活。雇用者が管理できなくなった際、当局は人々がどこに行き、誰と会ったかを追跡し、彼らの賃金をも支払うことが一般的になった。自由市場が何十年も支配していた国ではセイフティーネットの応急処置が必要となっている。

政府はパンデミックから経済を救うため、より多くの赤字を出した。マッキンゼーによるとこれら介入費用の支払いのため、世界中の政府の赤字は今年USD11兆にのぼる。既にこの支出がどのくらい続くかの議論がある。少なくとも先進諸国においては超低金利、そして動じない金融市場は短期的な危機を示してはいない。

長期的に経済は公的債務への考え方の再考を促している。新コンセンサスとは政府が低インフレの世界でより多くを費やす余地があるということ。そこで経済を活性化するためもっと積極的に政策を実行すべき。

2. Even Easier Money(さらに簡単なお金)

中央銀行は紙幣を印刷し続ける。金利はかつてない超低金利となり、中央銀行は量的緩和を強化し、企業買収、政府の債務をも買収する。これらすべての金融市場への介入は歴史的にみても安易な財政状態を生み出し、投機的投資の熱狂を生み出し、多くのアナリストがモラルハザードを懸念した。しかし特に労働市場が疲弊し、企業が貯蓄し続けている場合は中央銀行の政策を覆すのは難しい。今年発表された論文によると歴史的にもパンデミックは長期的に金利を押し下げる。パンデミックが起きてから四半世紀の後、ない場合よりも1.5%金利を押し下げることがわかった。

3. Debts and Zombies (債務とゾンビ)

政府はパンデミックの期間中ライフラインとして、貸付し、企業がそれを利用。結果、先進国での債務が急増した。国際決済銀行によると2020年上半期の企業の借金はUSD3兆3600億。自粛、ロックダウンにより多くの企業の収入が減少し、損失はバランスシートを蝕み、企業は支払い能力の危機に陥っている。誰が支援を必要としているかの選別なく、企業に過剰な支援をする危険性もあり、このような自由市場では生き伸びることができない「ゾンビ企業」が創出され、それらは国の支援なくしては生存できなくなり、全体の経済の生産性が落ちる。

4. Great Divides(大きな分裂)

貧しい国々は仕事、ビジネスを守るためのリソースを欠いており、富裕国が成し遂げたワクチンへの投資もできず、早くベルトを締めるか、もしくは資本逃避、金融危機に陥る危険性がある。世界銀行はパンデミックが新たな貧困世代、債務の混乱を引き起こすと警告している。IMFは発展途上国が10年前に戻るリスクがあるとしている。

5. K-Shaped (K字型)

顧客と対面するサービス業などの低賃金業務はロックダウンにより最初に消される傾向にある。富裕層が資産を所有する金融市場は労働市場よりもはるかに早く元に戻った。これを「K字型回復」と名付けた。ウイルスは階級、人種、世代間で収入、富の格差をさらに広げた。

6. Rise of the Robots(ロボットの台頭)

COVID19はソーシャルディスタンスが難しい小売、接客、卸売など接触が多い業務にあらたな脅威をもたらした。一つの解決策は人間をロボットに置き換えること。調査によるとオートメーションは不況の時に広がる。パンデミック下で企業はホテルのチェックイン、レストランでのサラダのカット、料金回収を機械に置き換えた。ショッピングはオンラインとなった。これら革新は経済の生産性を高めた。それははれて職場に戻れても、もうその業務がないことも意味する。

7. You're on Mute(ミュート状態に)

収入が高い程、リモートオフィスが標準になった。調査によると5月の米国GDPの3分の2は家で働く人々によって生み出された。多くの企業は2021年大半の従業員がオフィスに来ることが無くなり、また企業によってはフレックス勤務を常態化する。家での勤務は従業員、スタッフにあらたなオプションを与えた。ビデオ会議プラットフォームZoomのシェアは今年6倍に増加。リモートワークのオプションはウイルスへの恐れと相まって、郊外、田舎へと人々を向かわせ、地域によっては不動産価格が高騰した。

8. Not Going Anywhere? (どこにも行かない?)

UNによると10月までで、世界のツーリズムは72%の減少となった。会議がオンラインに移行することで出張の4分の一は永久に無くなると言われている。もし活動が元に戻ってもかつてのようにはならないかもしれない。コンサートはどうなるのか。人々は気を配るようになり、パーソナルスペースを重視し、混んだところには行かなくなる。旅行者は健康証明書の所持が義務付けられ、新しいセキュリティーを通らなくてはならないかもしれない。

9. A Different Globalization(異なるグローバリゼーション)

パンデミックの初期に中国の工場がシャットダウンした際、それはあらゆるサプライチェーンにショックを与え、世界の製造地への依存を再考する機会を与えた。スエーデンのファーストファッションの一部、NA-KDは従来の季節毎のトレンドからソーシャルメディアのトレンドに従うことにした。また生産拠点の一部を中国からトルコに切り替えた。これはグローバリゼーションの後退ではなく、調整の例。またパンデミックにより国家の安全にかかわる(今回のマスク、人工呼吸器)物は輸入に頼るのはリスクが高いという議論も生まれた。

10.  Going Green(グリーン化)

パンデミックの前は主に環境保護論者がピークオイル理論を考慮していた。それは電気自動車の台頭により最も汚染されているとも言える化石燃料の一つである物の需要が低下するというもの。しかし、2020年飛行機が飛ばず、人々が家に留まることによりオイルのメジャー会社BPでさえ、世界が環境に真剣になるべきと感じた。カリフォルニア州政府、そして英国政府は2035年までにガソリン車、ディーゼル車を販売することを禁止する計画を発表。バイデン次期大統領は米国がパリ協定に再度参加することを公約し、選ばれた。


https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-12-30/ten-ways-covid-19-has-changed-the-world-economy-forever

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