グローバルレポート|2021年は百貨店の破滅につながるのか?

ファッションネットワーク 2021年1月28日

1月25日、英国の老舗百貨店Debenhamsが幕を閉じた。Boohooがブランドを買収したが、124店舗の小売チェーンは傘下とならなかった。1月7日、米国のメーシーズはメーシーズ、ブルーミングデールズの30店舗以上を2021年中に閉鎖すると発表。2020年は百貨店業界にとって最も厳しい1年となったが、この状況は今年も続く。昨年、1874年創業の日本の大沼、1826年にNYで最初に開店したLord&Taylorはともに債務不履行となった。英国のDebenhams,米国のJCペニー(約850店舗),ニーマンマーカス(60店舗)は破産管財人の管理下に置かれた。ドイツのGaleria Karstadtは172店舗中、51店舗の閉鎖を発表。スイスのManor(53店舗)は店舗の5%を閉鎖するとした。スペインではEl Corte Inglesの経営陣が少なくとも15店舗の閉鎖を示唆。ギャラリーラファイエットのウゼ責任者は昨年の純損失が€10億に達するとし、組織編成を行っていることを発表した。競合のプランタンも7店舗閉鎖を準備をしている。2021年のスタートにあたり、コロナ禍での厳しい店舗閉鎖規則、世界中に広がる新たなロックダウンの脅威、限られたスペースでのソーシャルディスタンスの要請、ますますオンラインショッピングに向かう消費者、再販市場の拡大、海外旅行制限など、百貨店はいまだに大きな脅威に晒されている。米国では多くのアナリストが百貨店の完全な終焉を予測している。米国不動産の専門家によると、ショッピングモールで運営している半分の百貨店は閉鎖になると予想している。

  • 米国では二人に一人が百貨店での消費を減らすと回答:昨年の9月に開催された”小売の未来”というテーマでの会議で、メーシーズのCEOは「いくつかの店舗は競合店の閉店で短期的には利益を生むでしょう。しかし、多くの競合店がショッピングモールから去るため人通りが減り、これは長期に渡りショッピングモールに影響を与えるでしょう。そこで私たちは支店の構成を変え、ショッピングモールの店を整理し、新たにモールから離れたところに小さな店舗を設け、ミニメーシーズ、ミニブルーミングデールズというバジェット小型店舗を設けます。」と言う。米国消費者の44%が今後5年間で百貨店での消費を減らすと回答し、9%が百貨店での買い物をこれからも行うと回答。一方セカンドハンド、サステナブルファッション、アマゾンファッションは顧客に望まれている。2020年のCOVID19の影響は百貨店が直面する問題をさらに加速させる結果となった。モルガン・スタンレーによると米国市場では2016年アパレル販売の24%は百貨店が占めていたが、2022年には8%以下となると予測される。米国では百貨店の苦境は2010年代から始まり、JCペニー、シアーズはCOVID19以前に債務不履行となっている。日本では1998年から2018年の20年間で百貨店の収入は9兆円減の5兆9千億円までとなり、3分の1を下回っている。パンデミックは危機を招いたのではなく、状況をさらに悪化させた。世界百貨店協会のダイレクターは「英語圏市場では巨大化となり、年金、もしくは投資ファンドの支援を受けたグループにより人工的な成長がみられた。東南アジアは日本の運営の舞台となった。これはあまり成功とは言えないショッピングモールへの百貨店出店につながった。それは利益を削り、e-tailでは真の成長がみられなくなった。」
  • E-コマースの遅れ:E-コマースはいくつかの百貨店にとってはアキレス腱となっている。フランスのプランタンでは長きにわたり利益を生まないとされ、ほんの最近に取り組むようになった。旅行できなくなった今、ウェブはさらに百貨店の顧客を奪っている。アマゾン、Zalando,Tmallなどオンラインジャイアントとの競争、ブランドも今は独自のEショップを保有し、百貨店は多くのアウトレット店舗にも対処しなくてはならず、割引競争に巻き込まれている。また鉄道、空港も小売に参入し、百貨店から多くのブランド、顧客間の接点を奪っている。ブランド、小売のコンサルタント、Volcan Designのトップは「フランスのボンマルシェでは1990年代にすでにチャネルの未来について考慮している。私は百貨店には未来があると信じている。米国ノードストロームではすでに面白いフォーマットを広めている。中国のSKPは新たな顧客獲得に成功している。しかし、世界的にみれば百貨店は大きく変革しなくてはならない。ショッピングモールベースのモデルは明らかに牽引力を失っている。」と言う。パリやロンドンのような都市では百貨店の強みは旗艦店の海外へのアピール、特別な商品、そして豪華な店舗でのショッピングの経験であり、国内外の全ての支店に利益をもたらしたが、徐々に百貨店の旗艦店でのツーリズトの消費で利益を得る構造となっていった。「それら百貨店の主要資産は百貨店の旗艦店に入ったブランドが世界のツーリストに認知されたことです。これはパリの現実と首都の外にある支店とが2つに分かれることになりました。ツーリストは2023年から24年まで戻ることはなく、これは今後どのように地元の顧客に焦点をあてるかということにつながります。今では旗艦店が大きくなりすぎ、グループ全体の役割として不釣り合いな結果となっています。トレンドを注視し、支店での収益に目を向ければ、後者の方は収入を維持しています。」労働組合代表は何年にも渡り地方の顧客を蔑ろにするリスクについて警鐘をならしてきた。もちろん地方の顧客の回復により旗艦店は将来について楽観的でいられるだろう。
  • セルフリッジは将来売上減少となる:セルフリッジのグループ長は「将来的には売上は少なくなるだろう。使い捨て購入は確実に減速します。百貨店は大きく、オープンスペースがあるのでラッキーです。いまだにアート、食品、文化、会話などがあり、単純に物を買うだけでなく、人々がスペースでできることがたくさんある。人が外に出るには目的が必要であり、これが我々がビジネスを行う上で考えなければならない事です。」と言う。百貨店もチャレンジは自らを改革すること。デジタルツールは全体のコンセプトが魅力的でなければ万能薬ではありません。「メーシーズは閉鎖計画を発表しました。かつては800店舗だったものを最終的に300,または200支店にするということは示唆しませんでしたが、どのフォーマットを受け入れるのか?他のチェーンも含み、現在の店舗と統合し、厳選された商品の範囲と顧客経験を再設計することが信頼性を高めつつ、小売エリアを最適化する方法です。難しいのはダウンサイズしながら店舗、顧客の経験を変革し、デジタルの拡大を同時に進行しなくてはならない事です。それぞれが良いバランスを保ち、ユニークな特色、小売要素を持たなくてはなりません。」収益が合言葉である今、チェーンは小売スペースを他の運営者に売ったり、改修したりして、トレードオフを行っています。しかし、百貨店グループは利益が減少する中、これらすべてのプロジェクトを実行するリソースが必要です。そしてグローバルな危機、ファッション、美容といったカテゴリーの縮小により投資家を魅了する力がなくなってきています。「今が投資をする時。デジタルの能力はそれ自体が目的ではなく、結集するものです。最初のロックダウンの後、スイスのManorグループは急進的な変革プログラムを実施。タイのThe Mallのオペレーターは店舗改装、開店計画をデジタル化しながら進めました。El Corte Inglesは新しいアプリに投資し、市場の物流を直接管理する新たな高級店舗Castellanaをマドリッドにオープンしました。デジタルツールはより良い売上につながります。チャネルを通じて目的の収益レベルに到達できない場合は、デジタルツールをタップすることで運用設定を最適化して達することができます。」
  • 百貨店ブランドの活性化:チリのFalabellaは何年かを費やして相互システム接続のデジタルソリューションシステム作り、SMストアーグループはロックダウンの期間で顧客の電話でのリクエストに応対するためのローカルデリバリーサービスを独自の組織内で広めた。百貨店の将来には人間味が役割をはたす。パンデミック期間中多くの消費者はホームメード、セカンドハンド商品に回帰し、近所の小売店を利用している。百貨店は力のあるブランドをもっており、そしてそれらブランドは回復力が強い。ウエッブサイト、ソーシャルメディアチャネルを通じ、それらは人気がでる潜在性を持っている。変革への努力は必要であり、百貨店が潰れることなく、政府の支援により資金的に余裕があるかいなかは問題となる。大幅な変革、再編無くして変革は難しいだろう。しかし、マーケットによってはプレーヤーが消滅するかもしれないが、うまく泳ぎ切ることができれば陸地も見えてくる。百貨店が成長できるWebが確立できれば長期にわたる評判、主要な商売の場所を活用しフィジカルでもデジタルでも主要なプレーヤーになることが可能かもしれない。

https://us.fashionnetwork.com/news/Will-2021-spell-doom-for-department-stores-,1275939.html

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