間違いだらけの富裕層戦略、狙うべきは「プチ富裕層」

【USPジャパンの視点】

① 訪日再開後の施策として富裕層の取り込みが注目されているが、「富裕層の定義」と「それに基づくアプローチ」の整理が求められる。

②アプローチが有効なターゲットとなる中国のプチ富裕層に関しては、「ウィンタースポーツ」「ブレジャー(業務の後のレジャー)」「教育旅行」などがキーワード。

③富裕層にとって金では買えない、日本ならではの体験がより一層求められる可能性があることから、それぞれが「日本的おもてなし」を再考することも必要。


【記事の概要】

政府は、インバウンド市場において2030年の訪日客6000万人、消費額15兆円の目標を変えていない。

元JTB取締役訪日インバウンド推進部長の坪井氏は、15兆円という目標にこだわると富裕層市場で見当違いの施策が行われてしまうと指摘し、受け手としては消費額を伸ばすには「量から質の転換ではなく量と質双方の対応が必要になる」と主張した。

富裕層の定義についても疑問を呈し、「富裕層にもランクがある」としたうえで、中国を例に「超富裕層」「富裕層」「プチ富裕層」に分けた。

「超富裕層」は、チャーター機で移動し、1泊十万円以上のホテルに宿泊する層とし、「この層はすでに独自の購買ルートを持っているため、受け手によるプロモーションに効果はない」とした。

「富裕層」は、JNTOなどが定義する1回の旅行で100万円以上を消費する旅行者で「この層は十人十色で、それぞれオリジナルの提案が必要になってくる」と指摘した。

そのうえで、「狙うべきターゲットは、消費額25万円程度のプチ富裕層」と強調。中国では、この層が約1億人いると推計されていることから、量と質の双方へのアプローチが求められるとした。

中国のプチ富裕層、ウインタースポーツに注目

中国のスキー・スノボー人口は年々増加しており2019年には2000万人を超えたが、スキー場は大都市から遠く本格的なスキーヤーを満足させるゲレンデや設備などの点で日本には及ばない。

日本ではスキーに加えて温泉など観光と組み合わせることが可能なことから、「日本のウインタースポーツの訴求力は高い」とした。

また、現地消費額を伸ばすマーケットとして出張に休暇を組み合わせる「ブレジャーも富裕層」と位置づける。欧米豪を中心に日本に10回以上訪れているビジネストラベラーは多く、「地域にとっては、いい市場になる」と指摘した。

このほか、教育旅行にも言及。教育旅行自体では消費額は期待できないものの、対象国で富裕層が通う学校の日本への誘致を進めれば、「子どもたちは将来、日本を再訪し、富裕層マーケットになりうる。また、子どもたちから、その親に日本のよさが伝われば、新たに富裕層獲得にもつながる」と相乗効果に期待感を表した。

富裕層向けには金額ではなく「プライスレスな体験」を

坪井氏は、改めて富裕層について、「金額ではなく、自分のやりたいコト、欲しいモノに金額をいとわない人」と定義。「日本でしかできない体験、日本でしか手に入らないもの、『プライスレスな体験』を地域を作っていくべき」と強調。そのためには、地元ではなかなか気づかない素材を外の視点で発掘する必要性を訴えた。

また、特に欧米豪ではSDGsへの意識が強まっていることから、「サステナブルな商品の造成も富裕層を呼び込む条件になりうる」と指摘。トラベルボイスの鶴本代表も「欧米ではSDGsがホテルのランク付けの基準になっていることろもある。日本の宿泊施設もそうした対応が必要ではないか」と続けた。

最後に坪井氏は、富裕層市場でも、日本のキャッチフレーズとして「OMOTENASHI」を打ち出し、世界共通語にするべきと主張。台湾に進出した「加賀屋」の日本的「おもてなし」が高い評価を受けていることを例に、「おもてなしはリピーター化の切り札になる」との考えを示した。





【引用元】

https://www.travelvoice.jp/20210804-149299

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