国連世界観光機関(UNWTO)の持続可能な観光地マネジメント意見交換会に参加しました

訪日外国人の旅行消費額は年間4兆円以上にのぼり、自動車産業に次ぐ産業として国も力をいれています。しかしながら、オーバーツーリズムや新型コロナ肺炎による影響など、観光は多くの問題を抱えています。
 日本は世界基準の観光大国となるために、各地域で何をすればよいのか? その悩みを解決するヒントとして、2020年7月3日に奈良県コンベンションセンターでUNWTO主催「持続可能な観光地づくり推進国際ネットワーク(INSTO)等を活用した持続可能な観光地マネジメントの推進に関する説明会・意見交換会」が開催され、弊社より2名のスタッフが参加しました。

説明会・意見交換会プログラム(敬称略)

挨拶(UNWTO 駐日事務所代表 本保 芳明)  
講演(観光庁参事官(外客受入担当)片山 敏宏 氏) 
・持続可能な観光の推進に向けた観光庁の取組と日本版指標について  
説明1(株式会社三菱総合研究所)
・観光マネジメントに関する市場動向(持続可能な観光の重要性の高まり)
・持続可能な観光の取組に関する自治体向けアンケート結果について  
説明2(UNWTO 駐日事務所)   
・持続可能な観光指標と持続可能な観光地づくり推進国際ネットワーク(INSTO)の概要について
・世界におけるINSTO 加入地域の事例について   
・指標を活用した持続可能な観光地マネジメント推進に際するUNWTO 駐日事務所からの支援について
説明3(一般財団法人運輸総合研究所)   
・持続可能な観光地マネジメントの推進に関する調査研究について 
自治体からの事例発表(持続可能な観光の推進に関する取組)
・沖縄の事例
・岐阜の事例

●UNWTO等の説明 レポート

 持続可能な観光とは、UNWTOの定義では「経済」「社会・文化」「環境」の3つの側面ベースに考えた観光をさします。 それらをベースに自分の地域の課題・指標を作成し、モニタリングを実施。結果をうけて、計画・ビジョンのフィードバックを行うことを推奨しています。 しかしながら、課題を明確化できても、指標を何にすればよいかわからない方も多いと思います。 UNWTOでは「経済」「社会・文化」「環境」ごとに基本的課題と基礎的指標を明示しています。まずは、これらを教科書として、自らの地域に役立て欲しいと会を結びました。


● 自治体の事例レポート

自治体編 

 沖縄県は「観光地つくりにおける指標作成の重要性」を、岐阜県は「持続可能な観光地作りのマネジメントの実績」について、いずれも実例をあげながら、実践のヒントになるお話を伺いました。

沖縄県における観光成果指標の取り組み

 美しい自然を生かした観光が最大の魅力の沖縄は、平成24年に平成33年度までの将来像を「世界水準の観光リゾート地」と定め 、下記の項目の指標を作成。
 (目標) 観光客数1000万人・観光収入1兆円
 (達成イメージ) 観光客の視点・観光産業の視点・県民の視点・観光資源の視点
 (成果指標) 観光客指標/満足度・観光産業指標/消費額・県民指標/意義・観光資源指標/自然保全度
(結果)指標を作成したことで、事業関係者と作業の共有化ができ、上記10年目標は5年で達成できた。 

 成果指標項目は、観光・経済・県民・マネジメントの5カテゴリー、40項目に設定し、 平成26年度から運用開始。令和元年11月29日に「沖縄県SDGs推進方針」として定めた。 観光分野以外でも推進。 県全体として指標を作成しているが、市町村との連携が難しい。 原則市町村主体で対応している。 


 岐阜県持続可能な観光マネジメントの取り組み事例  

Hop Step Jumpの3ステップの過程を踏み、持続的に長期的に取り組んできた。
 1.HOP
 ・トップに知事を置き、外部から有識者を招き観光に関するマネジメント体制を整えた。
・地域資源の観光資源化:自分たちの地域に何が良い資源があるかを再発見。
・飛騨、美濃じまん戦略プロジェクト:三位一体プロモーション、官民連携を行った。 

 2.STEP
 ・世界へ誇る観光資源の再発見 
  外国人の意見を聞き、また外国人と密接な文化、歴史なども観光資源に取り入れた
  白川郷、長良川のアユ、杉原千畝さん、温泉ガストロノミー等
  宝物プロジェクト(国内外から情報集め、認定をする)
 ・世界に通用する海外戦略
  プレイス、ブランディング、着地型体験コンテンツ造成、WEBサイト、PR動画等、すべてに世界基準を意識する。県のPR動画も有名な外国人映画撮影スタッフに依頼。 ブランディングは言葉と写真で刷り込む作戦。
   動画をyoutubeへup→SNSで写真と動画で一つずつ説明→体験販売を行う。
   発信のポイントは、ストーリーと歴史を必ず魅せる。 常に世界を意識して情報発信をしていく大切さ。 認定機関も設けブランディングをしブランド力を保つ。 

3.JUMP

・持続可能な観光を基軸とした「経済」「環境」「文化・社会」の発展 世界を意識し、県一体となって、世界へ発信

・内外ともにSDGs専門部署を設置。 
  SDGsは誰がやるの?誰の為のもの?と理解が追い付かないので、県皆でやることだよと発信。
・名実ともにSDGs/サスティナブル・ツーリズム・GSTC(世界維持可能観光協議会)を掲げ目指している。


 ●感想

参加社員(シニアプランナー紙谷知子)

 観光庁でも日本独自の持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)が作成され、今後どんどんSDGsの思想が旅に反映されてくると思います。これらのガイドラインを活かすことで、旅行資源の開発だけでなく、利害関係者が一同に取り組むことにより、コミュニケーションがうまれ、地域経済・文化・環境の発展に貢献することになると思います。 また、社会や環境に関する意識が高いミレニアル世代が旅の中心となることにより、SDGsの発想は不可欠となっていき、「消費から気づきの旅」へシフトしていくでしょう。
 と、ここまで感想を述べましたが、一番感銘を受けたのは、INSTO(The UNWTO International Network of Sustaiable Tourism Observations)の「計測できないものは、改善できない」というエビデンス・ベースの政策形成の発想です。この発想はUNWTOが世界中の様々な立場の人々と実務を遂行していくうえで体得したものであり、言葉の重みを感じました。 

 参加社員(プロデューサー北株明佳)
   今回はじめてUNWTO、SDGsについてのセミナーに参加しました。 UNWTOの持続可能な観光マネジメントの定義である、旅行者・観光関連産業・自然環境・地域社会の需要を満たしつつ、経済面・社会面・環境面の影響も十分考慮に入れた観光という事にとても共感しました。
 そして持続可能な観光の発展には、関係するステークホルダーの参画・強い政治的リーダーシップ・観光の環境を継続的にモニタリングする取組が必要であるという事。 まずは自分事で行動を起こす事から始めるのが第一歩で、初めに情報の収集・整理と組織化をし、次に指標の作成、そしてモニタリングの実施を行いたいと思いました。
 世界の国際的ネットワークに参画する事の大切さや、日本バージョンの指標を世界に魅せていく事、また皆の力を一つにしてムーブメント作りだし広めること、国際的一定以上の基準、目線を常に考え行動し世界に発信する事が大切だと学びました。 そして指標を正しくつくり実行していく事で悪をなくすと思いました。 私はミレニアル世代ですが、社会や環境をすごく考えて旅行先を選んだことがなく、これからの時代に向け、率先して発信できるようになりたいと感じました。 人材の大切さを認識し、将来に向けこれだけ学べばこの様になっていくよという共通認識を分かりやすく伝えていけたらと思いました。 とても勉強になりました。開催者の皆様ありがとうございました。 

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