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関西におけるインバウンド事情の変化

   

大阪・関西万博が閉幕してから、早くも一年が経ちました。その後、関西のインバウンド事情はどの様に変化したのでしょうか?現状を把握し、今後のインバウンド対応で気をつけたい点を知るため、京都と大阪の店舗でヒアリングを行ないました。
今回お聞きしたのは、主に次の3点です。
①買い物の仕方の変化
②訪日観光客の国・地域別の変化
③11月1日から始まる免税制度の変更への対応
各店舗で聞いた話をもとに、主な変化と今後の対応についてまとめました。

     

■変化したこと

 
▲JR大阪駅からも近く、ユーズドショップが多い、庶民的な街として人気の大阪・中崎町
   

①買い物の仕方:若い訪日観光客が増え、価格も敏感に
 高級品を扱う店舗では大きな変化は見られないようですが、一般の店舗では、以前に比べて価格を慎重に検討するお客様が増えているようです。
②訪日観光客の国・地域別の変化:欧米からの訪日客も増加
 今年は韓国や台湾の訪日客数が増えているほか、欧米からの訪日客も増加しているという声が聞かれました。また大阪・関西万博の開催を通じて、関西の知名度も世界で高まったようです。
※国・地域別の訪日客数については、日本政府観光局(JNTO)の10月21日発表の訪日外客数統計をもとに確認しました。
③11月1日からの免税制度変更への対応は、まだこれから11月1日から、免税制度がリファンド方式に変わります。今回、各店舗に新しい制度へ対応方法や、訪日観光客への説明方法について聞きましたが、まだ対応方針が決まっていない店舗も多く見られました。
※リファンド方式とは、購入時にいったん消費税込みの価格を支払い、出国時に税関で商品の持ち出し確認を受けた後、消費税相当額の返金を受ける仕組みです。

     

■京都を歩いて見聞したこと

 
▲店内で買い物するお客様の90%以上が訪日観光客で、特に欧米からのお客様が多い店舗もありました。
   

京都の街を歩いていると、以前に比べて欧米からの訪日観光客が増えているように感じました。各店舗で聞いた声をご紹介します。
・有名なセレクトショップ
 日本製の商品が良く売れているそうです。一方、以前に比べて価格を慎重に検討するお客様も増えているとのことでした。以前は中国からのお客様が多かったものの、現在は欧米からのお客様が増えているそうです。免税対応については、本社からの特別な指示はなく、お客様に渡す案内資料もまだ用意されていないとのことでした。新しい制度への変更によって、どのような問題が起こるのか心配されていました。
・アート作品店
 アート作品を鑑賞するだけでなく、実際に購入するお客様は、欧米からの方が多く、客単価も高いそうです。以前は中国や韓国のお客様が多かったものの、現在は特に米国からのお客様が増えているとのことでした。店内で買い物するお客様の90%以上が訪日観光客で、店内は混雑していました。新しい免税方式への対応として、商品の内容やレシート、パスポートなどの確認を徹底する予定とのことでした。
・アニメグッズ店
 現在、人気商品は合金の「ガンダム」で、1日に1個は必ず売れるそうです。2番目に人気があるのは「ポケモンカード」とのことでした。また、観光を終えた夕方以降に来店するお客様が増えているそうです。施設の運営会社は、若いお客様の来店を促すため、ポップアップストアの開設や情報発信に積極的に取り組んでいます。こうした取り組みも、若い来店客の増加につながっているようです。免税対応については、特に本社からの指示はないとのことでした。
・レコード店
 売れ筋のレコードに変化はありませんが、数百円から3,000円程度の手頃な価格の商品が売れるようになったそうです。中国からのお客さんが減り、欧米からのお客様が増えた印象があるとのことでした。これまでは施設全体で免税対応していましたが、今後は自社の免税アプリを使って対応する予定だそうです。ただし、欧米からのお客様には免税に余り関心がない方も多いため、大きな問題にはならないのではと考えている様でした。
・老舗化粧雑貨店
 人気商品のキーワードは「日本らしさ」と「品質の良さ」です。日常使いができ、手頃な価格の商品が良く売れているそうです。以前に比べて訪日外国人客の割合は増え、現在は30~40%程度になっているとのことでした。なお、同店では免税対応は行っていません。
・日本のジーンズブランド店
 海外では日本製ジーンズが高価なこともあり、日本製の商品を探して来店するお客様が多いように感じるとのことでした。中国からのお客様はほとんど見かけなくなり、現在は欧米からのお客様が多いそうです。免税制度の変更に関しては、訪日観光客に渡す案内資料はまだ作成していないとのことでした。購入者は若い人よりも40代以上が多く、免税を余り気にしていない様子も見られるそうです。一方で、新しい制度への変更後、免税手続きをするお客様が減るのではないかと心配されていました。

     

■大阪を歩いて見聞したこと

 
   

大阪のキタとミナミでは、訪日観光客の客層に違いがあるように感じました。キタはJR大阪駅を中心とした北部エリア、ミナミは南海なんば駅周辺などを含む南部エリアを指します。ミナミは関西国際空港からアクセスしやすいこともあり、アジアからの訪日観光客が多く、キタでは欧米からのお客様が目立つ印象です。
・ラグジュアリーブランドのユーズド店
 現在はバッグが一番売れているそうです。商品の価格は上昇していますが、若いお客様が増えたこともあり、以前より価格を慎重に検討する傾向があるようです。商品選びにも違いが見られます。アジアからのお客様はブランドロゴが目立つデザインを選ぶ一方、欧米からのお客様はシンプルなデザインを好む傾向があるとのことでした。以前はアジアからのお客様が多かったものの、現在は欧米からのお客様が増えているそうです。なお、同店では免税対応は行っていません。
・小物雑貨店
 日本人のお客様は、事前に店についてよく調べ、欲しい商品を決めてから来店することが多いそうです。一方、訪日観光客は、街を歩いていて途中でふらりと立ち寄るケースが多く、日本人のお客様の方が購入に至る割合は高いとのことでした。以前は欧米からのお客様が高価な買物をすることが多かったものの、最近はそうした動きが少し落ち着いているようです。国・地域別の客層には大きな変化はないものの、中国からのお客様による、いわゆる「爆買い」は減少しています。ただし、中国からのお客様が減ったというより、他の国・地域からのお客様が増えた印象があるとのことでした。小物雑貨が中心で、商品単価も低いため、免税対応は行っていません。
・アメリカンカジュアルのユーズドショップ
 価格に対するお客様の意識に、大きな変化は感じていないそうです。また、以前に比べて値引き交渉するお客様も少なくなったとのことでした。もともとアジアからのお客様は少なく、欧米からのお客様が多い店舗ですが、最近は米国、フランス、英国などに限らず、より幅広い国・地域からお客様が訪れるようになったそうです。同店では免税対応を行っていませんが、それによるお客様からのクレームも特にないとのことでした。

 

     

■今後の訪日観光客への対応
・買い物の仕方の変化への対応
 一部の高額品を扱う店舗を除き、訪日観光客の若年化は進んでいるようです。それに伴い、商品の価格を慎重に検討する傾向も見られます。しかし、若い世代の訪日観光客が増えることは、決して悪いことではありません。若い人たちが遠く離れた日本に興味を持ち、わざわざ訪れることは、喜ばしいことでもあります。今後は、日本でしか手に入らない商品や、日本ならではの体験をさらに充実させることが重要になると考えます。
また、観光を終えた夕方以降に買い物する人が増えたという声もありました。一方で、大阪や京都では観光後の時間を楽しめる場所やサービスがまだ十分とはいえません。大型家電量販店の中には、営業時間を1時間延長し、売り上げや集客の拡大につなげた店舗もあります。もちろん、費用対効果を考える必要はありますが、夜の時間帯を有効に活用する「ナイトタイムエコノミー」は、今後の重要なキーワードの一つといえそうです。
・観光客の国別変化への対応
 大阪・関西万博開催終盤にも、店舗から「以前はあまり来なかった国の人が来店するようになった」という声を聞きました。今回のヒアリングでも、欧米を含む幅広い国。地域からお客様が訪れるようになったことを、改めて実感しました。韓国でも、美容医療や化粧品、K-POPなどを目的に、さまざまな国から観光客が訪れています。こうした動きも踏まえると、日本ならではの観光地や買い物の楽しみ方を発掘し、発信していくことが重要です。また、世界的に人気のある日本のアニメやIP(知的財産)を活用したコラボレーションなども、さらに進化させていく必要があると考えます。
・免税制度の変更への対応
 今回のヒアリング時点では、新しい免税制度への対応が十分に進んでいない店舗も多く見られました。「免税手続きをするお客様が減るのではないか」と心配する声もありましたが、制度変更によってどのような問題が起こるのか、まだ予測できない部分もあります。また、制度変更日である11月1日は日曜日です。万が一、問題が発生した場合、問い合わせ先が休業している可能性もあります。そのため、事前に手続きの流れやお客様への説明方法、トラブルが発生した際の対応などを確認しておくことが大切です。あらかじめ準備を進めることで、店舗で対応するスタッフの負荷を軽減できると考えます。
以上、京都と大阪の店舗でヒアリングした内容をもとに、関西のインバウンド事情の変化と今後の対応ついてまとめました。本記事が、各店舗でインバウンド対応を検討する際の参考になれば幸いです。
USPジャパン 大阪駐在 中村 哲也

 

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