福岡のまちとともに歩み続けてきた三好不動産様は、賃貸管理をはじめとする総合不動産コンサルティング事業を展開する一方、地域や社会の課題解決につながるさまざまな活動にも取り組まれている企業です。
今回は、2027年夏の開業を目指して整備が進められているブルーベリー農園「ベリーズパーク名子」を中心に、その背景や取り組みについてお話を伺いました。耕作放棄地の活用から始まったこのプロジェクトは、農園という枠を超え、人が集い、地域とつながる新たな場所づくりへと広がっています。
地域の困りごとを解決することが、会社の原点
左から: 三好ホールディングス 経営本部シニアディレクター、一般社団法人日本未来創造公益資本財団 業務執行理事 中島様/ 三好不動産 地域共創室 室長、株式会社アグリウィッシュジャパン 代表取締役 村田様/ 三好不動産 社長室 室長、一般社団法人アースプロジェクト福岡 代表理事 樋口様 三好不動産様の歩みは、地域の人々の「お困りごと」に向き合うことから始まりました。
本社がある唐人町(福岡市)周辺は、かつて漁師町として発展した地域です。当時、海難事故への不安を抱える漁師たちからの相談を受け、住まいと暮らしを支えるためのアパート建築や不動産管理事業がスタートしました。時代とともに地域が抱える課題は変化していますが、その課題に向き合い、解決策を考える姿勢は創立当時から変わっていないそうです。
三好不動産様にとって地域貢献は、「特別なこと」ではなく、「当たり前のこと」。その時代ごとの社会課題や地域の困りごとに向き合い、解決策を考えることが企業の原動力になっているそうです。そうした考え方から生まれた取り組みの一つが、樋口様が代表理事を務める一般社団法人アースプロジェクト福岡です。
アースプロジェクト福岡は、学生を中心としたボランティア活動の企画・運営を行う団体。コロナ禍で学生たちの学びや挑戦の機会が減少したことを受け、学生時代の経験や地域とのつながりを生み出す場としてスタートしました。現在では高校生の探究学習や大学受験の推薦活動にも活用されており、登録者は5,000人を突破。親子で参加する社員も増えるなど、学生・家族・地域をつなぐ活動へと広がりを見せています。
社会課題の解決から始まった『ベリーズパーク名子』
村田様が代表取締役を務める株式会社アグリウィッシュジャパンでは、2027年夏の開業を目指し、ブルーベリー農園『ベリーズパーク名子』の整備を進めています。
ブルーベリー農園プロジェクトの原点は、3年前に三好不動産様のグループ会社・株式会社FORWORKSで行われた各幹部による社内プレゼンでした。「この会社をどんな会社にしたいか」というテーマで、村田様が描いた未来の一つがブルーベリー農園だったそうです。
その後、社外研修「ソーシャルイノベーションスクール」でこの構想を卒業課題として深掘りする中で、全国的に増加する耕作放棄地の問題に着目。不動産会社としてオーナー様から寄せられる後継者不足や農地活用の悩みに向き合う中で、地域課題の解決につながる事業として農園構想が具体化していきました。
数ある作物の中からブルーベリーを選んだ理由は、村田様ご自身が家庭で栽培していた経験があったことに加え、国内生産量がまだ少なく成長の可能性が高いこと、そして子どもたちが収穫の喜びを体験しやすい作物だったからです。
また、不動産業界の繁忙期と収穫時期が重ならないことから、社員や家族が参加しやすい農園づくりにつながると考えたそうです。
農園には、水や肥料を自動管理するポット栽培を導入。農業の「大変そう」というイメージを変え、誰もが参加しやすい“楽しい農業”を目指しています。
現在、約1,800坪の耕作放棄地を再生した農園には約60種類、約850本のブルーベリーが植えられています。すでに社内では65名のサポーターが活動しており、休日には親子で農園を訪れる社員も少なくありません。
将来的には、採れたてのブルーベリーを味わえるだけでなく、障がいのある方の就労機会の創出や地域交流の場としての活用も視野に入れています。『ベリーズパーク名子』は、耕作放棄地の再生から始まった取り組みを、地域の新たなつながりへと広げていく場所になろうとしています。
ベリーズパーク名子が目指しているのは、単にブルーベリーを収穫する農園ではありません。子どもたちが果物や自然に触れながら学び、社員や家族、オーナー様、地域住民が交流できる場所。そして障がいのある方も含め、多様な人が関われる場所としての役割も視野に入れているそうです。「おいしいブルーベリーをつくること」を大切にしながら、人と人とのつながりを育む農園づくりが進められています。
取材当日は、実際に農園で育てられているブルーベリーを試食させていただきました。甘みが強く、ぷるんとした食感が印象的でした。
地域課題の解決から、新しい価値創造へ
三好不動産様では、ベリーズパーク名子を耕作放棄地活用のモデルケースの一つとして位置づけており、今後は遊休地や農地の新たな活用にも取り組んでいきたいと考えているそうです。
また、大学や企業、行政との連携にも力を入れており、九州オープンイノベーションセンターなどとの共創を通じて、地域課題の解決につながる新たな仕組みづくりを進めています。
2026年に創立75周年を迎えた三好不動産様。その歩みを振り返ると、その当時から一貫して「地域の困りごと」に向き合ってこられたことが分かります。
アースプロジェクト福岡による学生支援、そしてベリーズパーク名子による耕作放棄地の活用も、その延長線上にある取り組みです。
地域課題を新たな価値へと変えながら、人と地域をつなぐ場を生み出していく三好不動産様。取材を通じて、長年にわたり地域から信頼され、親しまれてきた理由の一端に触れることができたように感じました。