地域振興事業

東京下町事情~共感が人を呼ぶ街「かちぐらエリア」

   

JR御徒町,地下鉄蔵前駅、JR浅草橋に囲まれたエリアを「かちぐら」と称し、新たな商圏のとらえ直しで繁盛の種が目を噴き出し始めています。

「かちぐらエリア」には古い倉庫や工場跡をリノベして新しい店がいくつもできています。

     

シャッター通り:単なる「街の改装」では解決できない

 
佐竹商店街 2026年5月22日15時頃撮影
   

日本で最も古い歴史を持つとされる「佐竹商店街」のように、輝かしい過去を持つ場所も時代の変化とともにシャッター通り化が進んでしまいました。近年の再開発などで周辺の人口はわずかに回復したものの、かつてのような本当の「街の賑わい」を取り戻すまでには至っていません。
これは下町に限った話ではなく、日本中の多くの街が同じように人口減少や少子高齢化に直面し、活性化の糸口を必死に模索しています。これまでの近隣の商圏での考え方や、単に改装してきれいにするというような施策では、街を活性化するというところまでは至りません。

 

     

同じ感性が人を引き寄せる「カキモリ」が示す賑わいの形

 
カキモリに集まる文具好き
   

「かちぐらエリア」の中には、繁盛している場所があります。例えば、クリエイターの聖地のようになって賑わう文具店「カキモリ」です。決して恵まれた立地ではないこの場所に人が集まるのは、彼らの心に深く響く店づくりがされているからです。オリジナルで作れるノートや筆記具、デジタル時代にあえて手書きにこだわる感性の方々が集まります。

同じ感覚やこだわりを持つ人は、1時間圏内で30万人ほど存在します。「街の人口衰退」という狭い視点ではなく、「同じ感性を持つ分母」として捉え直し、外国人や友人まで含むと、ここは十分に活性化できるエリアに変わります。彼らは国籍を問わず、大好きな時間や空間を求めて集まり始めています。

     

ハシゴしたくなる「大好きな街」へ

 
「豆電球画廊」 戦火を逃れ築約100年の建物を新オーナーみづからの手でDIYしギャラリーへ
   

カキモリをきっかけに集まった人々は、街にある他の「大好きな空間」へも足を運びます。戦災を免れた古い店舗を改装したギャラリーや、工場をリノベしたカフェだったり、作る工程の見えるチョコレートファクトリーのスィーツ。周辺にぽつぽつと生まれ始めたリノベーション店舗等です。
本当の地域活性化とは、単に自分の商品や店を近隣の住民に向けて発信することではありません。街の持つ歴史や古いものの価値を再解釈し、ターゲットを明確に絞った店づくりと情報発信を、エリアの枠に縛られずに届けること。共通の感性を持つ人々がハシゴしたくなる空間が「面」として広がることで、街は独自の魅力を放ち、新しいファンを呼び込む好循環を生み出していきます。

USPジャパン 鈴木伸二

 

関連ブログ記事

TOP