旭化成で25年のキャリアを積み、50歳で「社外の誰かや社会の役に立ちたい。自分の価値を見つけたい」と副業に挑戦した鈴木 誠さん。USPジャパンでは洲本市の地域創生プロジェクトに参画し、フォーラムの企画から当日の運営までを担当しました。副業という限られた時間の中で、何を感じ、何を学び、今後どこへ向かうのか——率直に伺いました
ビジネスネーム「鈴木 誠」で副業に挑戦
―自己紹介―
鈴木 誠です。副業での活動では、会社と自分を切り離して取り組みたいという思いから、ビジネスネームを使っています。出身は兵庫で、旭化成に入社するタイミングで東京へ。現在は練馬区に住んでいます。
最近の趣味は家庭菜園です。60cm×120cmの畝を3つ借りて、キャベツやカリフラワー、大根、茎ブロッコリー、ほうれんそうなどを育てています。洲本市のある淡路島といえば玉ねぎですが、玉ねぎ栽培は難しくて挑戦出来てません。
―「いまのUSPでの自分」を一言で言うと?―
一言で言うなら、「必死に、溺れずに泳げている」です。
最初の1〜2か月は特に、未知のスポーツの試合に“いきなり途中参加”したような感覚でした。「ボールは投げるの?蹴るの?そもそも何をすればいいの?」という状態で、試合(=プロジェクト)の流れに乗っていく。丁寧にステップを踏んで学ぶというより、流れの中で必死にキャッチアップしていく感じで、カルチャーショックもありました。
ただ、洲本案件が一段落して、最近ようやく身体が慣れてきた感覚があります。
―本業のキャリアと強み:じっくり考え、戦略をつくる―
新卒で旭化成に入社して年齢も50歳になり、定年が現実味を帯びてくる中で、「この先どういうキャリアを積むのか」「社外に出た時に、自分はどんな価値を出せるのか」を考えるようになりました。
自分の強みは、“考えることが好き”なところです。時間をかけて整理し、ベストアンサーに近づけていく。戦略や戦術を考えるのは得意であり、これまでの環境ではそれを十分に発揮して活躍することができました。
一方で、USPでの経験を通じて学んだこともあります。
議論を「100%まで詰め切れなかった」と感じても、結果としてアウトプットの完成度が高く、周囲の満足度も高いことがある。時間をかけて100点を取れることを確信して進めるより、考えながら進めていく良さもある——それは大きな気づきでした。
50歳で越境した理由、不安だらけの3か月、洲本で得た手応え
洲本市で見た海岸 ―なぜ副業(越境)をしようと思ったのか―
副業に踏み出したきっかけは、まさにキャリアの節目でした。50歳という年齢で、「この先どうするか」を考えていたタイミングで、旭化成に50歳を対象とした副業プログラムがあり、紹介を受けました。
「自分の本当の強みは何か」「社外でどんな価値を出せるのか」
それを試せる機会だと思い、応募しました。旭化成の外でも、何かしら役に立ちたいという思いがありました。
―数ある選択肢の中で、なぜUSPジャパンだったのか―
理由は大きく3つあります。
1つ目は、自分が“旅”に関わることをやりたかったこと。コロナ禍で旅行や観光が止まり、観光客がゼロになった一方で、コロナ明けには人が一気に動き出した。旅は本能的なものだと感じましたし、観光マーケットはなくならない、むしろ伸びていくコンテンツだと思いました。
2つ目は、日本を元気にしたい、地域を活性化したいという思い。いわゆる「空白の30年」と言われる中で、地域を元気にする仕事に関わりたい気持ちがありました。
3つ目は、USPの仕事が、その2つと重なっていたこと。「旭化成以外でやりたいこと」「役に立てそうなこと」が、USPにあった感覚です。
―ジョイン前の不安から、成果・学びへ:洲本フォーラムで得た手応えと課題―
ジョイン前、鈴木さんの率直な心境は「不安だらけ」でした。何ができるのか、自分の強みをどう活かせるのか、USPでどのように役立てるのかが見えないままのスタート。さらに期間は3か月と限られており、「短期間で成果を出し、実績を残さなければならない」というプレッシャーも大きかったといいます。
その中で取り組んだのが、洲本市の地域創生案件におけるフォーラム実施です。結果としてフォーラムを形に残すことができ、鈴木さん自身も「やり切った」と思える経験になりました。特に印象的だったのは、終了後に洲本市からの評価が高く、参加者アンケートでも満足度が高評価だったこと。「成功した」「やってよかった」と素直に感じられる手応えが得られた点は、大きな自信につながっています。
一方で、業務を通じて得た学びもありました。観光による地域活性化は、シンボリックな施設や“分かりやすい目玉”だけで成立するものではなく、地元では当たり前の風景や日常こそが観光資源になり得る——その感覚を掴めたことが大きな収穫だったといいます。
ただし難しさも同時に実感しました。コンサルの視点で現場に入ると、「良いところを見つけよう」というバイアスがかかり、何でも良く見えてしまう危険がある。観光客として訪れた場合、古びた街並みは目にも留まらないかもしれない。つまり、“本当の魅力”と“こちらが良く見せたい魅力”の間にギャップが生まれやすく、その差をどう埋めるかは常に考え続けたポイントだったそうです。
また、自身の課題として挙げるのが「瞬発力と感性」。現場で「これが良い」と直感的に判断する力や、セミナーのタイトルなど言葉選びのセンス、「なぜこのフレーズが刺さるのか」を即座に掴む感覚は、仕事を前に進める上で非常に重要だと痛感しました。限られた時間で成果を出す副業環境だからこそ、判断の速さと感性の精度が、成果に直結する——そんな実感を得た期間だったといえます。
夜と週末の越境で見えた現在地
最後に副業としてのリアルな働き方に触れておきます。限られた時間の中でどうやって前に進めたのか、切り替えのコツは何だったのか。越境の現場で見えた学びと課題をまとめました。
―副業の働き方:夜と週末が中心―
稼働は基本的に夜と週末。帰宅後の20〜21時頃から作業を進め、メール1通でも悩んでいると気づけば深夜0時、1時になることもありました。セミナーが立て込む時期は、夜遅くまでの対応に加えて週末も稼働する形でした。
―本業との両立:任せる力と周囲の支え―
本業(旭化成)側はチームメンバーに業務をお願いし、出張対応も含めて協力を得ながら進めました。一方USP側は分からないことが多く、新津さん・紙谷さんに都度相談して教えてもらいながら進めたといいます。
―切り替えの工夫:時間で線を引く―
できるだけ「時間を決めて切り替える」ことを意識。完全に切り離すのは難しいものの、夜の時間はUSPに切り替え、本業は持ち帰らないようにする——その線引きをしていました。本音では、出向のように100%コミットできる形の方が動きやすい面もあると感じています
―いま見えている課題とこれから―
越境で痛感した課題は「瞬発力と感性」。現場での直感的な判断や、セミナーのタイトルなど言葉選びのセンス、「なぜそのフレーズが刺さるのか」を即座に掴む力が重要だと実感しました。将来のキャリアは現時点では“半々”。USPジャパンの面白さと本業の面白さ、それぞれの一長一短を見ながら、まだ結論は出していません。
【インタビューあとがき】
インタビューで鈴木さんは、USPジャパンでの仕事の経験を「未知のスポーツに途中参加したようだった」と振り返ります。それでも溺れずに泳ぎ切り、洲本市フォーラムという成果を形に残しました。すべてを考え切ってから動くのではなく、考えながら前に進む——その越境で得た気づきは、本業にもきっと還元できるはずです。そして鈴木さんは、USPジャパンでの業務は、新しい挑戦を求める人にとってチャンスを掴める環境だと感じています。
「16タイプ性格診断」※の結果は「建築家」
「建築家」タイプは、知的好奇心が旺盛で、深く根付いた知識欲を持ち、物事を構造的に捉えて考え抜く傾向があると言われています。50歳で越境に踏み出し、未知の環境でも学びながら成果を形にしていった鈴木さんの姿は、まさに「建築家」らしさを感じさせます。
※16タイプ性格診断(16Personalities)はNERIS Type Explorer® 社提供の性格診断テストです。客観的な指標として参考に記載させて頂いております。(https://www.16personalities.com/ja)
取材・記事執筆:松井・D・友作(2026/02)