令和6年「観光庁 地域周遊・長期滞在促進のための専門家派遣事業」、令和7年「インバウンド対応強化・地域参加型ワークショップ開催等業務」を通じたUSPジャパンの観光地域づくりの支援について、ご担当者様にお話しを伺いました。
ご担当者さま
洲本市産業振興部 大畑翔吾次長、商工観光課 粟井文章課長、同 元木健太様
聞き手
USPジャパン 新津
事業実施に至るまでの洲本市の観光の課題・問題点をお聞かせください
豊かな自然と歴史資源を有する洲本市。淡路島観光の中心地として知られながらも、近年は周辺エリアの大型観光投資や話題性の高い施設に注目が集まり、相対的に「地味なまち」と見られてしまう課題を抱えていました。
「淡路島全体は盛り上がっていると言われますが、洲本は何があるのかと聞かれることが多かった」(粟井課長)と当時を振り返ります。莫大な資本投資が難しい自治体として、洲本独自の価値を磨き上げる必要性を強く感じていたといいます。また、コロナ禍を経て観光の形は団体旅行から個人旅行へと大きく変化しました。城跡、海、自然、歴史など多様な資源を持つ洲本は、本来であれば個人の趣味嗜好に応じた観光に適した地域です。しかし、それらを体系的に整理し、観光コンテンツとして磨き上げる取り組みは十分とは言えませんでした。
「観光施策が点で存在しており、エリア全体としての戦略が描けていなかった」(大畑次長)。商品造成、プロモーション、受入環境整備、事業者連携といった観光に不可欠な要素が断片的で、特に二次交通や多言語対応など、誘客を本格化させるための基盤整備が手つかずの状態でした。「行政として祭りや公園管理といった従来業務に注力する一方で、”人を呼び、滞在してもらい、消費につなげる”という観光政策本来の役割に十分踏み込めていなかった」(元木氏)ことが、最大の課題だったのです。
当社のどういうところが特徴的でしたか
最も評価されたのは、徹底した現場ヒアリングを起点とするアプローチです。行政内部だけで議論するのではなく、地域事業者、市民、関係団体など多様なステークホルダーから意見を集め、地域の本音と可能性を可視化していきました。
「何をすればいいかわからない状態から、多くの声を聞くことで、地域が同じ方向を向ける感覚が生まれた」(元木氏)「ここまで深堀りしてヒアリングするのか、と驚いた」(粟井課長)と語ります。粘り強くヒアリングや対話をコーディネイトすることで、行政のみならず民間を含めたトップ層の間で、課題や方向性の共通認識が醸成されました。単なる計画策定ではなく、人と人をつなぎ、地域全体に大きな流れを生み出した点が大きな成果でした。
また、外部視点による客観的な分析も役立ったといいます。
長年住んでいると気づきにくい地域資源の価値を掘り起こし、磨けば観光の核になるポイントを具体的に示していくことで、行政側の発想が大きく広がったといいます。「羅針盤のように方向性を示してくれた」(粟井課長)という表現に象徴されるように、戦略立案から現場実装まで一貫して支援する姿勢が、洲本市にとって心強い支援となりました。
当社への今後の期待や将来展望をお聞かせください
今回の取り組みを通じ、「すべてを自ら実施するのではなく、地域をつなぎ、方向性を示し、民間の力を引き出す存在であるべきだと実感した」(大畑次長)と、行政としての役割が明確になってきました。
今後市民との対話の深化を通じ、観光を進めることが地域の豊かさにつながるという理解を得ていくことがが不可欠だといいます。
客観的データや他地域事例を交えながら「外部の専門家の言葉だからこそ、市民の心に届く」(粟井課長)力を生かして、観光の価値を伝え続ける役割、単なる事業支援にとどまらず、地域全体の意識変革を促す存在としての伴走が望まれています。
「正解は一つではないが、間違わない方向を示してくれる存在でいてほしい」(元木氏)
洲本市は今後も、中心市街地だけでなく周辺エリアも含めた広域的な観光地域づくりのありかたを観光関係者のみならず多くのステークホルダーと作り上げていくことになります。
その歩みを戦略と実行の両面から支え続けるパートナーとして、USPジャパンへの期待と責任は高まっています。
粟井課長・大畑次長・元木氏(左から)
視察実施・フォーラムに登壇した観光専門家の皆さん
洲本城からの洲本市全景 ©663highland(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%80%85:663highland) 【実施時期】2024年8月~2026年2月
【クライアント名】兵庫県洲本市(産業振興部商工観光課)
【関連URL】
■ インバウンド専門家による洲本市観光モニターツアーについて
■ 洲本市(市役所トップページ)