地域振興事業

スペシャルインタビュー:和歌山県串本町様(第3回)

株式会社USPジャパンでは2年前より民間初のロケット発射場設営に伴い、和歌山県串本町より業務委託を受けて町民向けワークショップ等各種事業を展開しています。全国でも数少ないロケット発射場を軸とした新たな地域振興に取り組まれている田嶋町長のスペシャルインタビュー第3回です。
第1回:町が抱える課題 そしてロケットの町へ
第2回:地域の子供たちがカギ

串本町の今むかし

新津:少し話題が変わりますが、ここからは串本町の未来についてお話しを聞かせて貰えればと思っています。私達がお手伝いをさせていただいてから、和歌山、熊野、串本のことが新聞やTVで見ないことが無いほど露出が凄いなと感じていますが、町長もそのあたり知名度の上がり方に何か実感されていますか?

田嶋町長:そうですね。和歌山県に30の市町村がありますけど、今、一番露出度が高いのは串本町じゃないかと思います。串本町は、昭和30年代ぐらいは串本節で全国に名を馳せた地域なんですね。以前、東京のタクシーで、運転手さんが秋田ご出身の方で、自分も自己紹介して和歌山県の一番南の串本町っていう所から来たんですって話をしたら、その運転手の方が「ここは串本、向かいは大島、中を取り持つ巡航船って♪」って言いながら「今巡航船はありますか?」と言われて。21年前に橋が出来て今は無くなったんですと答えました。
運転手さんのご年齢は80歳前半のようでしたが、美空ひばりの大ファンで、美空ひばりのアルバムに串本節が入っているようで、それで知ったという話でした。私もYouTubeで調べてみたらめちゃくちゃテンポの良い感じで。江利チエミの串本節もあり、そういった意味では串本は有名だったんですよね。
あの有名な串本をもう一度このロケットで有名にしたいという思いがありますね。そして、僕等もやはり大学でどこの出身と聞かれて、串本と応えたら、その時若い子らも串本節は知っていたんですよね。そこから距離が縮まる、話題が一つ出来るというような。
だからこれからも串本出身の子供達が大学など外へ出た時に、あのロケットの町だと言われるような、会話の元になるような町にしていけたら良いかなと思っています。また、そういった子供達が将来帰って来て、ここ串本で働いてもらえるような、そういう町を望みたいなと思います。

世界の串本町へ

新津:今の串本節しかり、本州最南端っていうキャッチフレーズがこれまでの串本にはあったかと思いますが、そこからロケット最先端の町という、ある意味関西を飛び越えて、日本、世界へと串本の羽ばたく範囲というのが、物凄く広くなってくるんじゃないかなって思います。

田嶋町長:本州最南端がロケット最先端の町へなろうと今、しているわけで、ロケット発射場は専門家の話を聞くとどこでも良いわけではなく、串本は調査をし続けた中で決まったわけで、そこで決まったとしても、冒頭話したように土地が買えなかったり、住民反対があったり、いろんなことで挫折してしまうのが、全て、本当にビックリするぐらい上手くいった。これは町民の皆様方に感謝しなければいけないのですが、最後の88歳のおばあちゃんは、海をみながらその土地を離れたくなかったのですが、串本の将来の為にハンコを押してくれた。そういった人達に報う為にも、このロケット事業を成功させて、やって良かったなあと。
そして子供達も、串本で長期総合計画を作る時に1,000人アンケートをしたのですが、その中で串本から外に出た後、串本に帰ってきたいですか?という質問があったのですが、多くの子供達が『帰って来たい』と答えました。何故帰って来たいのと聞くと、やはり自然が有るというのです。デメリットは『働き場所が無い』ということがあるのですが、ただ、皆が串本に愛着を持ってくれている、自然の素晴らしさを子供達は知っている。ここに居るとあまりわからないんですが、でも、外にでたら余計に空の青さ、海の青さがわかってくるんですね。そういう子供達に是非、串本に帰って来て貰って、直接的にはロケット事業ではなくても、串本で起こってくるいろんな職業に就いて貰えたらなって思っています。そういうことに期待しています。

新津:周囲からの期待が高まれば高まるほど、リーダーとしての町長のお役目というのは大変になると思いますし、また、夢を語ることは非常に簡単ですけど、それを実現する為に計画をし、実行に移すというのは人には語れない、大変な事だろうという風に思います。そういったところも私達は今後も末永くお手伝いさせていただきたいと思っています。ここから先に向けて弊社にご期待があれば最後にお聞かせいただければと思います。

田嶋町長:これから、今はステップの段階でまだ発射してないわけですし、スタートもしてないわけですが、スタートしたらしたで、またいろいろな課題が出てくると思います。プラスになる課題とか楽しみな課題もあると思いますが、マイナスの課題・交通渋滞の問題とか、いろいろと出てくると思います。それは一つ一つ解決して、より良いものにしていかなければならない。そういった中でUSPジャパンさんのご協力といったものが本当に重要であると、僕等は認識しておりますので、常に情報交換しながら現状を把握していただき、僕等もいろいろ提案をさせていただく中で、一つのいいものを作り上げていきたいなと思っています。

ロケットからの町おこし

新津:ロケットみたいな宿題を貰うとやりたいことはあるし、課題もあるけど、どう整理したら良いのか、当事者としてはなかなか難しいところが有ると思っています。お手伝いをさせていただいて、最初にその整理として、例えば、ホップ、ステップ、ジャンプでいきましょうと。最後のゴールは思い描きますけど、やはり基礎から、皆で一丸となるキャッチフレーズ、ビジョンみたいなものが一番頭を悩ますところですし、重要だなと思いました。

田嶋町長:やはりロケット事業という素材があったとして、そこに多くの観光客が来て頂いたり、経済に繋げていかないと。人はたくさん来たけど、それほど潤っていないということになると、どうしても下火になると思うんですよね。同じことをしていても駄目だと思うので、商品開発しかり、商売人の人たちに積極的に参加して貰い、ロケットを見にくる観光客は他に何を求めているのかは十分にリサーチして、商品開発もしてやっていく、そこらは正直、素人なんですよね。そこらをUSPジャパンさんには期待するところですね。
一つの商品を作ったからこれをずっと売っていきましょう、みたいなのはどこかで下がっていくと思うのです。今回、串本の水を作りましたが、道の駅でこの3月の3連休に100ケース売れました。どんな買い方するのかを尋ねたら1本買う人はなく、2本、3本買う人が殆んどで、自分で1本飲んでみて、後は見た目もお土産っぽくなるので、お土産にされます。そこに加えて10年持つ水というのはインパクトがあるので、絶対売れると道の駅さんは自信を持って言われてました。しかし、これだけではなく、常にステップをあげていくことが重要と思います。

新津:宇宙兄弟も実現出来て良かったです。町の職員の皆さんも忙しいので、ゆっくり作戦を練る時間も無いと思うので、そういった意味で外の情報とかコラボ先を集めたりとかは僕等の役割かなと思っています。町政の中長期の計画にもそういうアドバイスは必要になりますね。

田嶋町長:そうなりますね。市町村会など、最近はどこに行っても「ロケットどう?」と言われますね。やはりロケット事業への関心は凄いなと思います。

新津:ある意味、ロケットは誰のものでもなかったから、ロケットを使って町の人に元気になって貰うのが大切ですね。

田嶋町長:今、串本に小さなご飯屋さんが幾つか出来てきています。この時代に変化を感じてきています。観光客が多く来だしたら、やはり食べ物屋が求められてきますよね。町としても大変有り難いことと思っています。

新津:本日はお忙しい中、貴重なお時間を頂戴してありがとうございました。今後も引き続き宜しくお願いいたします。

【実施時期】2022年5月29日

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