USPジャパンで働くメンバー紹介企画、第12弾は神林淳(かんばやしあつし)さんです。神林さんは2016年にUSPジャパンにジョインして以降、主にインバウンド対応のアドバイザーとして、多くの事業者を支援しています。物腰が柔らかく周囲を和ませるキャラクターを形成した経緯や、インタビューで見えた神林さんの信念をご紹介します。
人が笑顔になってくれることが嬉しくてたまらない

-これまでの経歴をお伺いできますか
神奈川県出身で、高校球児でした。大学では経済学を専攻していましたが、人と接するのが好きだったので、4年間はディズニーランドでアルバイトをしていました。楽しそうにしているお客様との会話は、仕事をしている感覚を忘れるほど楽しかったです。その経験から、大学卒業後は東武百貨店に入社し、25年間に渡り複数の地域で主に販売促進を担当しました。
-百貨店での印象的なエピソードはありますか
2005年以降、千葉ロッテマリーンズの優勝セールやイベントを提案・企画し大きな売上を上げられたことですね。マリーンズの球団社長と意気投合し、地域住民に支えられている事業者同士として連携を強化しました。その頃、百貨店の販売促進マネージャーの立場でありながら、マリーンズのオーストラリアのキャンプに帯同し、キャンプレポートを発信するようになったことはとても印象的です。英語やネットリテラシーに自信がありませんでしたが、単身で行っても「やればできる」ということを実感し、その後は殆どのことを恐れなくなりました。その翌年からは石垣島でのキャンプにも帯同し、百貨店の仕事とマリーンズのレポートを両立し、「かんちゃんのキャンプレポート」や「かんちゃんのマリーンズコラム」が有名になりました。
-高校球児だった神林さんの強みが活きてますね
仕事上での転機は2008年のリーマンショックです。当時、私は船橋店の販売促進マネージャーをしていて、営業方針や販売計画を策定する立場にありました。リーマンショックの影響を受け、広く設定していた商圏から「地域密着型」の営業方針に転換し、高齢者向けに当日配送サービスの強化や、売り場に休憩スペースを作るなどの施策を打ちました。また、2011年の東日本大震災で地域の皆さんが「東武が営業しているから安心」「東武が出す情報が頼り」と仰って下さったことで「地域のための店づくり」の想いを強め、その方向性を強化・継続しました。翌年には、船橋市役所・船橋市内の高校や農家、競馬場などと連携し、地域と一緒にイベントや商品開発を行い、地域の皆さんとのつながりをさらに深めました。「船橋横断ウルトラクイズ」や「屋上スケートリンク開設」、力士を呼んでの「大相撲フェスティバル」など良い思い出です。
-地域との繋がりを大切する強い想いを感じます
地域の高校生の商品開発の授業でアドバイスする機会があり、そこで「神林さんのような社会人になりたい」と言われたことは、今でも良い思い出です。たぶん、百貨店の業務の忙しい中で、時間と力を注いだことに対する感謝の言葉だったと思います。私は人が笑顔になってくれるのが嬉しくてたまらないんです。学生たちが喜ぶ姿を想像すると、放っておけなくなっちゃったんですよね。同じように、千葉ロッテマリーンズで記事を書かせてもらったことは、すごく大きな財産だと思っています。8年間で色んなことを一緒にやってきて、選手たちも信頼してくれたんだと思います。素人ながらのバッティングや守備に関する意見に対しても「ずっと見てくれている人だから参考になる」と言ってくれたり、中には、引退後の進路相談をしてくる選手もいるんですよ。先輩社会人として見てもらっていたんだなと感じます。
みんなが笑顔になれる「インバウンド」に魅了された

-インバウンドとの出合いは
2014年に池袋店で「競合対策」「地域密着」「インバウンド」のプロジェクト長になったことがきっかけです。インバウンドは、他社と競争するのではなく、連携する地域の事業者がそれぞれ利益を享受できる側面があります。そこでインバウンド客を取り込むために「ウェルカム池袋フェア」を企画し、池袋の多くの事業者を巻き込んで実施しました。みんなで足並みを揃えて笑顔になれるインバウンドの魅力に気が付いたのはこの頃です。次第に、もっと広い視点で全国的にインバウンドを広めたいと思い、2016年にUSPジャパンにジョインしました。
-USPジャパンでの取り組みについて教えて下さい
2018年頃、訪日ゲストを乗せたクルーズ船が日本各地に訪れるようになりましたが、その訪日ゲストの方たちが観光地を訪れても、大型バスで決まったルートを周るだけでした。そこで、地元の事業者が恩恵を受けられて、地域経済の活性化に繋がるように、当時確立していなかった港湾内での免税販売の実証実験を行いました。その後、自店舗以外の会場でも免税店販売ができる仕組みが法整備されていきました。また、ラグジュアリークルーズの乗客向けの取組みとして、船内で和太鼓パフォーマンスや日本酒のイベントを企画し、観光が難しい高齢者にも楽しんでもらう工夫をしました。
-これから取組みたい事などありますか
インバウンドの領域でも、百貨店時代に感じた達成感を味わいたいです。31年ぶりの優勝でマリーンズ関連のセールなど初めてだった日本一セールの際には、シーズン中から社内はもちろん、マスコミや球団関係者への根回しで数か月奔走していました。そのことを知っていた新聞社の方が「これを配る資格があるのはあなたたちです」と「マリーンズ日本一!」の号外を持ってきてくれました。夜10時頃船橋駅のコンコースでその号外を配っていると、受け取った人たちが私に向かって「おめでとう」と声をかけてくれたんです。私はマリーンズの人間でもなければ、野球をしているわけでもなく、ただマリーンズを応援していた百貨店の一員なのに「おめでとう」と何人も何人も言ってもらえて、涙が出ましたね。また、号外を配り終えた後に、百貨店外壁に優勝を祝う特注の巨大懸垂幕がかかったのを見上げた時に、もう一度涙しました。その達成感は本当に大きく、苦労が報われる瞬間でした。
インバウンドの仕事でも同じような達成感が得られるのではないかと思っています。それがどういうシーンで、どういう形で来るのかはわからないですが、日本全国を巻き込んでインバウンドを頑張っていこうという気持ちでいます。
多くの人を笑顔に「善く生きる」

-ご自身が情熱を注いでいる事について教えて下さい
私は「タウンウォッチング」が好きで、全国の街並みや住宅街、商店街、公園、自然などを見て回っています。インバウンドセミナーの講師として全国で呼んでいただくことが多く、いろいろな街をしっかり下調べして歩き、その内容をセミナー資料に反映させます。街を歩くのが楽しくて、その土地特有のものや商店街の雰囲気、人々の様子を見ることが好きですね。いつの間にかそれが趣味になった感じです。
-タウンウォッチングはずっとお好きなんですか
もともとは20代の頃にハマった、赤瀬川原平氏の「超芸術トマソン」という視点で物事を見るのが楽しいんです。超芸術トマソンというのは、美しく保護されている無用の長物のことで、例えば、建物の入口があったであろう場所で階段だけが残っていて、その階段の手すりとかを補修した跡が美しい、みたいなことです。若い頃からそういった視点で街を歩くようになって、別にトマソンじゃなくても「この路地いいよね」とか「誰も気づかないけどこれ面白いよね」と、誰も着眼しないようなところに敏感になったかもしれません。それをセミナーでも、スライドに反映させて「今日この街を歩いたらこんなものを見つけたんですけど、皆さん気づいてましたか?」なんて話をします。
-ご自身の大切にしている価値観はどのようなことでしょうか
私がこの世に活かされている意味は、「関わるすべての人を笑顔にすること」だと思っています。それがインバウンド事業においては、訪日外国人に満足してもらうとともに、受入れ事業者の業績を向上させることだと考えています。訪日外国人はゲストですから、ゲストが満足するためにホストが何をすべきかっていう観点で取り組むことを啓蒙して回るっていうのも役割の一つと思っています。
USPジャパンは、自社でインバウンド対応ソリューションを持っていません。そのため、インバウンドに関わる、あらゆるエリアの、あらゆる業態の、あらゆる課題を解決できる知見とコネクションが財産です。私が継続してやってきているのは「コンサルティング」「セミナー講師」「ソリューションのマッチング」など、私がサービスを提供できるあらゆるシーンで「ゲスト」「BtoC事業者」「BtoB事業者」が、三方一両得(みんなが少しずつでも得をする)になるように心掛けています。
私が生かされているもう一つの理由は、「多くの人に影響を与えること」とも感じています。大きなことを成し遂げる必要はないんですが、「神林ってやつ、なんか良かったな」と思ってもらえればそれでいいんです。そのために「善く生きる」というのがテーマです。ある程度年を取って気づいたんですが、世の中には本当に困っている人がたくさんいます。若い頃は漠然と「みんなが笑顔になればいいな」と思っていましたが、今は意識的に困っている人に目を向けるようして、誰かが困っているのを見て見ぬふりをしないようにしています。自分自身には困っている全員を助けるほどの力はありませんが、自分の知識や技術を身につけた領域で人助けをしていく、そういう使命を果たしたいと思っています。
【インタビューあとがき】
神林さんのユーモア溢れる人当たりの良さは、「関わるすべての人を笑顔にしたい」という強い想いから生まれているのだと、インタビューを通じて理解しました。学生時代にディズニーランドで働き始めた頃から、その献身的な姿勢が一貫していることや、ご自身の価値観や信念を的確に言語化する能力の高さには感銘しました。神林さんは、自分がこの世に生まれた意味を冷静に見極め、それに情熱を注いで生きているように感じます。今後もその情熱を全国に広げ、さらに多くの人々を笑顔にしていくことでしょう。(取材:2024/9)
・「16タイプ性格診断」※の結果は「提唱者」
「提唱者は静かなビジョナリーです。理想主義者として周りの人をインスパイアしながら精力的に働くことが多いでしょう。」
これから多くの方々と関わる中で、インタビューでお話しいただいた神林さんの生き様にインスパイアされる方も増えることでしょう。そのたびに、「神林さん、なんか良かったな」と心に刻まれていくこと間違いなしです!
※16タイプ性格診断(16Personalities)はNERIS Type Explorer® 社提供の性格診断テストです。客観的な指標として参考に記載させて頂いております。(https://www.16personalities.com/ja)
取材・記事執筆:ネイチャーウェルネスデザイナー 小松原 守(2024/11)