USPジャパンで働くメンバー紹介企画、第13弾は紙谷知子(かみやともこ)さんです。紙谷さんは2015年にUSPジャパンにジョインして以降、得意分野である企業や地域の魅力の発見・発信することを中心に、国内外に向けた様々なプロモーションを実施してきています。紙谷さんとの会話では、僕の想像の斜め上をいく発言も多く、戸惑うことも。他の方とは一味違った魅力を醸し出す、そんな紙谷さんの内面に迫ります。
ものをつくるのが好き

—USPジャパン入社前の経歴をお伺いできますか?
子供の頃から映画が好きで、大学生になってからはどっぷり映画を観るようになり、卒論も映画に関するものでした。大学を卒業して航空会社に就職しましたが、何か違うと。。。そこで、好きな写真をやろうと、写真学校に入ったのですが、ふとした縁でテレビ局の映画事業部で働くことになりました。そこで出資作の映画のCMを作ることになり、自分が編集した映像がテレビで流れるのをみて、うれしかったですね。そこでは雑用から映像編集、カメラマンまで、いろんな仕事を経験させてもらえました。
その後、映画宣伝会社や外資系の映画配給会社に転職し、ハリウッド映画のマーケティングやパブリシストとして働きました。当時、日本はアメリカに次ぐ興行収入を誇る重要な市場でしたが、どうも日本人の文化的感覚が特殊らしく、アメリカ本社の考えるキャッチコピーやタイトル、ポスタービジュアルをそのまま使っても、日本では受け入れらない現状がありました。そこで、日本向けにどう宣伝するか、どのようにアプローチするかを考えるのが私たちの仕事でした。さらに、ストーリーの伝え方についても、どんな切り口なら観客に「この映画を観たい」と思わせることができるか、工夫することが求められました。この頃、身についた思考パターンが今の仕事にも活かされている気がします。
日本の良さ・面白さを知ってもらいたい

—USPジャパンとの出会いについてお聞かせください
もともと新津さんとは大学の同級生で、広告デザイン研究会というサークルで一緒でした。同期が少なかったので、よく一緒に遊んでいました。卒業後は、異なる業界で働いていましたが、お互いに人を紹介し合うなど、仕事上の付き合いも少しありました。
私がまだ映画配給会社で働いていたある日、その年の世相を表す「今年の漢字」のPR戦略に関するテレビ番組を見たんです。日本の世相や漢字を発信するいい企画だと感じたのですが、この企画に携わっている方が地域の魅力をユニークな切り口で発信する仕事をしていることを知りました。私はその頃、映画だけでなくもっと広く、日本の地域のかっこいい工芸品や日本の面白さを日本人や海外の方に知ってもらいたいと考え始めていました。まさに、これまでの「ハリウッド映画を日本人に届ける」という仕事から、「日本の魅力を海外に届けたい」という方向への転換期だったのです。
ちょうどその頃、新津さんがインバウンドに関する仕事をしていて、私の想いに近いことをされているのを知り、面白そうだなと感じ、USPジャパンに入ることにしました。
—USPジャパン入社後に取り組んだことを教えてください
入社後はインバウンドや地域創生に関わるプロモーションを中心に取り組んでいます。
ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)の訪日外国人向けイベント『Japan Shopping Festival(JSF)』には約10年間携わっています。最初に担当したのは岡山の表町商店街でのJSFでした。ただ商品を訪日ゲストに売るのではおもしろくないので、商店街の方々が自分の店の商品を使って体験イベントを催してくれました。ある文房具店の方は筆ペンを使って、ゲストの方の名前を一緒に書いたり、仏具屋さんでは香木体験を提供したり。そのとき、「海外の方との交流には特別なことも言葉もいらないなあ。心から歓迎するだけで、ゲストもうれしく感じ、心を返してくれるんだなあ」と実感しました。ちょっとした商品(道具)をとおして、仲良くなれる。言葉が通じないからこその交流は、シンプルでいいなと思いました。
JSTOの仕事にも通じますが、訪日外国人向けのプロモーションでは、これまで国ごとに「ウケるポイント」が異なるとされ、それぞれの国に合わせて日本の魅力を引き出し、コンテンツを磨き上げて伝えることが重視されてきました。
しかし最近では、国ごとに括るよりも、むしろ人々の嗜好性で括るほうが適していると感じています。というのも、SNSにより、国を越えて人々が共通の興味・関心でつながる傾向が強まっているからです。
同じ嗜好を持つ者同士が、隠れた価値や魅力を発見することに喜びを感じる時代だからこそ、今大切なのは「磨き上げ」よりも「伝わり方」です。多くの人に届けることよりも、価値がわかる人に、正しく伝わることが大切だと思います。
*1. JSTO(一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会)https://jsto.or.jp/
チームワークもひとりも

—仕事で大切にしていることは何ですか?
なんでしょうね。チームワークで動く時と、個人で動く時とそれぞれありますね。
前職では、楽しいことも辛いこともいっぱいありましたが、その分、一緒に働く人たちと結束力が高まって、一つの目標に向かってワーッとエネルギーを出し合い、チームワーク良く働けたのがよかったです。個性や得意技が違うキャラが一つのチームになると、『ファンタスティック・フォー』みたいに、それぞれの力を発揮できて、達成感があるんです。うまくいくと、みんなで「天才、天才!」って言い合ったり。苦手な取引先との架空のやりとりを芝居仕立てにし、対策したり。大のおとなたちが。完全に部活のノリですよね。
一方、私は1人で文章を書いたり写真を撮影したり、コツコツと何かを作る作業も好きなので、USPではじっくり集中できる環境のもと、仕事ができるのがいいですね。その意味で、新津さんの存在は大きいです。おおらかに話を聞いてくれて、相談にもよくのってくれ、「やってみようか」と前向きな雰囲気を作ってくれます。
と、偉そうに語って、恥ずかしい。ダメな点は興味がないことには、頭は回らず、手も足も動かないこと。ましてや、聞いてもいない。このことをUSPの先輩に指摘されて、「ああ、そうか」と気づきました。気づいても、これがどうにもならない。今まで、上司や周囲がうまくコントロールしてくれていたんだなあと今更ながらに感謝しています。
—これからやってみたいことはありますか?
うーん、この質問、むずかしい。あるような、ないような。話し過ぎました。
小松原さん、そろそろ、次のインタビューの時間ですよ。
【インタビューあとがき】
紙谷さんへのインタビューは、終始刺激的なものでした。気を抜くと話についていけないくらい想像力豊かで、一つのことから色んな連想を膨らましお話してくださいました。でもそこには一貫して、「楽しく、面白く」という価値観がベースにあり、仕事だけでなくプライベートを充実させたいという思いが伝わってきました。趣味で世界中を旅行されている紙谷さんだからこそ、固定概念にとらわれない自由な発想をもち、表情が豊かで楽しそうに話される姿が印象的です。その楽しむ姿勢が場の雰囲気を和ませ、周囲の人にも楽しさが伝わっているように感じます。筆者も「人生を充実させたい」と強く思っているので、今後も紙谷さんのご活躍から目が離せないですね。(取材:2024/4)
・「16タイプ性格診断(※)」の結果は・・・「論理学者:創造力に富む発明家で、無限の知識欲があります」
※16タイプ性格診断(16Personalities)はNERIS Type Explorer® 社提供の性格診断テストです。客観的な指標として参考に記載させて頂いております。(https://www.16personalities.com/ja)
取材・記事執筆:ネイチャーウェルネスデザイナー 小松原 守(2024/11)